とどめをさす椅子
椅子ブームというのがあったが
いまは沈静化?
でもいい椅子って
ブームと関係なく魅力的だ。
僕がずっと使っているのは
デンマークのハンス・ウェグナーが
デザインした
カールハンセン&サン社の
Yチェア。
これを昨日まで出ていた週刊朝日で取材した。
連休なので新しい号は今日発売だ(ふー)。
カールハンセン&サンで7万7700円
なにしろ座り心地がいい。
座面がペーパーコードといって
紙をよったこよりのようなものを
ハンモック状にわたしてある。
これが微妙なクッション感をつくっている。
家のはブラックのラッカー塗装なのだが
ここで紹介しているのは
ソープフィニッシュといって
特別なソープで
漂白したような色合いに仕上げたもの。
汚れたら自分で洗うのだという。
そんなところがおもしろい。
輸出がさかんだった
デンマークで
梱包用の紐から発想したという
ペーパーコードは3本をよって作る。
猫のいる過程は要注視。
それに木材に知悉していたことがわかるのが
うまくテーパーをつけて
美と強度の両立をはかったり
1枚を割って
さらにねじってテンションをかけながら
ひじかけでそれを留めるといった工夫など。
きれいなカーブも
じつはパーツ点数を減らしてコスト減のためだったとか。
ひとりのデザイナーが最後まで
考えるから
まとまったデザインとして完成するのだという
いい見本。
傑作としてもうこれしかないと
とどめをさすような椅子だ。
あと、ウェグナーが認知された背景に
アメリカでの人気がある。
1960年ケネディがニクソンに勝利したとき
テレビ討論での
ビジュアル効果をスーツの色とか
いろいろ利用したのは有名な話しだが
椅子はウェグナーのものだったそうだ。
「ニクソンが重厚なデザインを選択したのに対して
ケネディは軽やかなウェグナーの椅子で
若さをアピールしたのも
有権者の好感度につながったのです」と
僕は広報担当のひとから説明を受けた。
でもあとで週刊朝日編集部の
優秀な担当ウサミさんが確認してくれたところ
「ふたりともウェグナーでした!」とのことだった。
なので最初はいいエピソードだと思ったのだけれど
記事にはならなかった。
でもさもありなんと思わせる。
椅子ってそのぐらい
大きな存在感があるのだ。
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